サムネイル: 【大企業×新規事業の難しさ⑫】社内のコミュニケーションプランと会議設計の重要性

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【大企業×新規事業の難しさ⑫】社内のコミュニケーションプランと会議設計の重要性

チームでプロジェクトを推進するにあたり、会議は欠かせません。
大きなチームほど、大きな会社ほど、多くのステークホルダーがいるほど、会議の数は増える傾向にあります。
そして、報告、協議、調整、情報共有、関係構築など、会議の種類も多様になっていくと感じます。

様々な会議がありますが、基本的に感じることは、
少人数の、会議の目的によって選抜されたメンバーの会議ほど効率がよいということ、
そして効率だけではなく、
プロジェクトのアウトプット(=作り出すビジネス)の質もよくなるということです。

我々も仕事柄、いろいろな会社の会議に参加させていただくのですが、会社によって色というかスタイルが大きく違うことには毎度のことながら驚かされます。
そのような中で、大変洗練されているなと感じる例がありました。
その会社の例においては、常にミーティングに参加するのはチームリーダーとメインで検討を推進する数人のメンバーだけ。
そして、毎回きちんとアジェンダを切り、必要なメンバーだけに参加を依頼する、ということをきちんと意識付けしていたのです。

当たり前のことのようで、実はこれはなかなかできないことのように見受けます。
「関係しそうだから」「あとで情報共有をするから」という未来の手間を惜しんだケース、
関係するチームなのだから「呼ばないとまずいのでは?」という不安や忖度のケース、
「技術面の指摘があったときにその場で答えられるように」といった先回りした準備のケースなど、
動機は様々のようですが、いずれにせよ、「なぜ自分が呼ばれたのかわからない」参加者がいる会議というものを散見します。

こうした会議の弊害が、もしもリソースの無駄遣いだけであればここまで記事に取り上げるような問題ではないのかもしれません。
(呼ばれた側も、自分に関係のない話は断ればいい=当人たちのリソース管理の問題だとも言えます)
しかし、こうした会議のアジェンダと参加者のコントロールが、実はプロジェクトの成否の重要なポイントであると思うことが増えてきました。

例えば、こんなケース。
様々なアイディアを発散的に議論したいときに、レビュアー的なポジションの人を同席させるべきかどうか?
議論の音頭を取って場を活性化させてくれる方ならいいですが、その場で意思決定をしたがる方の場合、会議自体の性質が変わってしまう可能性もあります。

あるいは、こういうケースも。
プロダクトの初期的な段階でリスク管理部門や品質管理部門の人々の同席を依頼するかどうか?
初期的な段階では「できない理由」はアイディアやサービスの幅を狭める傾向にあります。当該部門の方々の観点や気にするポイントを別途ヒアリングしたうえで、アイディアやサービスの議論は別途行う方が効果的なケースが多いです。

こういった具体的なケースに限らず、「どんな立場から発言を求めるのか明確でない人」がいるケースは往々にして、検討の進捗を妨げます。
このインサイトの記事でも何度か言及していますが、作ろうとしている新しいビジネスについて一番深くいろいろ考えているのは、そのチームのメンバーです。
それに対して、例えば顧客の立場ではどうか?、業界的な知見から言うと?、ビジネス的に問題なさそうか?、リスク管理的には大丈夫か?…と立ち位置を明確にしながら意見を貰うことができれば、そこから建設的な議論ができます。
しかし、そのような立ち位置が明確ではない人が、会議の場で出す「個人的な」感想や批評は、その人自身の経験やノウハウに極めて依存しがちであり、時に(特に影響力の強い立場の人の発言ほど)議論の方向性をあらぬ方向に導いてしまいます。
特に、複数の仕事を抱え、当該ビジネスについて深く考えたり情報収集したりできない立場の方ほど、こうした検討チームの意向との齟齬が起きやすいように感じます。

従って、どのような立場から、どのような意見を欲しいのかをきちんとコントロールしながら会議を進めることはビジネスをきちんと煮詰める上でも、議論をスムーズに進める上でも大変に大事です。
特にステークホルダーの多い大きな企業ほど、どのタイミングで誰とどんなコミュニケーションをする必要があるのか、中長期のコミュニケーションプランと、短期的なミーティングプラン(アジェンダと参加者)をきちんと詰めながら進めていくことが大事であると言えるでしょう。