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新しい領域には「飛び込む」

さて、まもなく2022年も終わろうとしています。
みなさま、どのような一年だったでしょうか。

今年はロシアによるウクライナ侵攻をはじめ、まさにVUCAの時代という言葉がピッタリの予期せぬこともたくさん起きた一年でした。
こうした先の読みにくい、変化の速い時代だからこそ、新しい事業を始める際には、どのような事業領域でビジネスを始めるのか?という判断が重要になると思います。

端的に言えば、市場が大きく、追い風の吹いている領域に向かって走る、ということが鉄則です。
技術革新や市場の拡大といった周囲の追い風に対して大きく帆を張って、いわゆるブルーオーシャンに漕ぎ出せば、本来、成功はぐっと近く感じられるでしょう。
しかし、既存事業のある会社となるとなかなかこのポイントが難しいと感じることがあります。
その原因は、新しい市場を自分たちの事業のフィルターを通して見てしまう傾向があるためです。

自分たちの会社の持つ技術やアセットを前提として新しい事業領域にアプローチした結果として、せっかく大きな市場がある世界の中で極めて小さいビジネスをつくることに終始してしまう(そしてその結果、その市場そのものに失望してしまう)ということが往々にしてあるように思います。
しかし、新しい領域に取り組む時、その足掛かりになるのは自社のアセットだったとしても、実際にはその領域の様々なプレイヤーと関係を築き、様々な体験をして、あるいは試行錯誤をすることで、実はもっと大きなビジネスの可能性に気づくことがあります。
要するに、こういった新たな領域での探索型のビジネス構築にあたっては、自分たちのアセットの範囲でビジネスを考えて作るだけではなく、アセットを足掛かりとしてその領域に飛び込むことの方が重要なのではないかと思うのです。
特に、海のものとも山のものともわからないような新しい技術領域に飛び込む時などは、このアプローチが有効です。

なぜなら、実際に体験して、意見交換して、その領域の1プレイヤーとなることで初めてわかることがたくさんあるからです。

1プレイヤーとして、めまぐるしく進む新しい領域で活動するには、スピード感と自由度が欠かせません。
領域の事業環境も、そこにいるスタートアップをはじめとするプレイヤーも、相当なスピード感で動いているからです。
こうした状況の中で、大手企業とスタートアップが協業して事業を進めるケースを私もよく見かけますが、上手くいくケースは例外なく大手企業の意思決定が速い(もっと言うと現場に決定力と推進力がある)です。
場合によっては会社を切り出すなどの方法も含め、既存事業に遠く、スピード感が必要な事業にこそ、現場に権限を与え、その領域にどっぷり浸かる仕事が必要になるものと思われます。